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作られた文章

潰すか?

二度寝の話

好きなものほど曖昧で、嫌いなものほど鮮明だ。多くの人とおんなじように俺は蜚蠊が嫌いなのだが、夢の中のあいつは決まって立体的で、サイドビューで描かれて、二本の触覚が交互にゆらゆら揺れる。6本足は畳まれ、延びて瞬く間もなくすんなり動く。てかてか光る翅は茶のフローリングに映えて異様な存在感を放つ。寝起きの悪い夜中3時に、付けっ放しのエアコンが、消すのを忘れた照明が、少し優しく空ろを包んで"嫌い"の国を陥としにかかる。もう一眠りし、明日に備えようと今度はスイッチを切る。毛布と布団に挟まれ次は、願わくは……、と瞳を閉じる。